メールがなければ仕事にならないというのは事実です。しかし一方で、絶え間ない受信メールの管理で多くの労働者の時間が奪われています。マシュー・ジェンキンがメールの過負荷を軽減する7つの方法を紹介します。
1日に送信されるメールの総数は2,690億件(1)であり、これは1秒あたりほぼ310万件になります。送信されるメールの数は毎年4%増加すると予想されており(2)、多くの労働者が受信ボックスの管理に悪戦苦闘し、仕事に悪影響を与えていると感じるのも無理はありません。時間のない起業家にとって、溢れる受信ボックスを管理する重要性は、ますます高まっています。次の2019年にはメールによる惨事を防げるよう、ビジネスオーナー向けのイノベーティブな7つのヒントを紹介します。
1. メールを件名でラベリングする
ソフトウェア企業GPS Goal Trakの創業者であるリチャード・デイヴィス氏は、受信者がすぐに対応すべきメッセージを見分けられるよう、メールに優先度を示すラベルをはっきりと付けるようにしています。その方法は、件名の冒頭に次の3種類のいずれかを挿入することです。お知らせには「<Info>」、受信者に何らかの対応を求める場合には「<Action>」、意見やフィードバックを求める時には「<Comment>」を使います。
「かつては1日に100件以上のメールを受信していましたが、件名の書き方に配慮がない人が多く、それが問題になっていました。これは成長中のチームを抱える起業家にとっては特に重要なことです。件名は賢く活用しなければいけません」と彼は言います。
2. 複数のメールアカウントを持つ
起業家のラナ・エリー氏は、複数のメールアドレスを持ち、緊急だと考えられるメールはすべて1つの受信ボックスに届き、スマートフォンまたはデスクトップですぐに通知を受けるようにしています。その他のメールは、毎日確認する時間を割り当てている別の受信ボックスに届きます。
「毎日メールを確認する時間を設けるのはとても重要なことです。そうしなければ常に先延ばしにしてしまって、気付いた時には手が打てない状態になっているか、返信の期限が過ぎてしまいます」と彼女は指摘します。「私は毎日、朝一番にそれぞれの受信ボックスを確認して、緊急度に応じてタグ付けしています。そうすることで、それぞれのメールをいつ返信しなければいけないのか、おおまかな期限を頭に入れておくことができます」
3. アプリの通知をオフにする
「10秒以内に返信が必要なメールなんてありません」と、redheadPRの創業者でマネージングディレクターのサラ・タイ氏は断言します。「すぐに対応する必要はありませんし、スマートフォンの待ち受け画面に表示される警告は単に邪魔になるだけです。バイブレーションも論外です。ミーティングの後でメールを開いてざっと目を通し、優先順位を付けて、整理するだけでいいのです」
心理学者はこれに同意し、頻繁に状況を確認することは有害なストレスの原因になると主張しています。ロンドンに拠点を置き、職場体験を心理学的に研究しているFuture Work Centreのレポート(4)によれば、ユーザーがメールアプリを使用していない際に新着メッセージを知らせる「プッシュ通知」機能に促されて頻繁にメールをチェックしたり読んだりすることは、ストレスや不安を引き起こすことがわかりました。
Jargon PRのCEOサイモン・コーベット氏は「フィルタリングが重要だ」と語ります。
4. メールの消灯時間を決める
私たちの働き方はリモート技術によって急速に変化しました。かつては決まった営業時間があり、家に帰れば仕事に「ログオン」する必要はありませんでした。こうした働き方はもう過去の話なのでしょうか。デイヴィス氏は起業家に、こうした昔の働き方を実践すべきだとアドバイスしています。「常時接続」でいることは自分自身とチームにストレスを与えるだけでなく、それ以外の点でも非効率になると彼は述べています。
デイヴィス氏は、営業時間を過ぎた「ありえない時間」にメールをすると、じっくりと丁寧に考えて1つのメールにわかりやすくまとめることができず、アイデアが沸き上がるたびに複数のメッセージを送ることになると主張しています。
「特に仕事を委任している場合には、(自分のチームに)圧迫感を与えてしまいます」と彼は説明します。「やり取りでは、品質と組み立て方が重要です。営業時間外に書くと1件のメールで済むはずの内容が、3件になってしまうこともあるのです」
5. メッセージをフィルタリングする
起業家のサイモン・コーベット氏は、フィルタリングが重要であり、それにはGmailが優れていると語ります。Jargon PRのCEOであるコーベット氏は「『読む』というフォルダを作って、重要ではないメールはすべてそのフォルダに入れるようにします。緊急で重要であれば優先しますが、そうでない場合は『読む』フォルダに入れて、毎週金曜日に1時間かけて目を通します。返信する必要のないメールがどれだけあるか気付いて、驚きますよ」
タイ氏は、会社の受信ボックスに入れるメールの上限を50件に設定していると言います。全従業員には、仕事中にメールの整理、保存、削除を行うよう推奨しています。これによってストレスが軽減され、1日の終わりには受信ボックスが整った状態になるのだと彼女は語ります。
Emphasis TrainingとEmphasis 360の創業者であるロブ・アシュトン氏は、メールを整理するのに便利なアプリが複数あると書いています(5)。彼は履歴と行動に基づいてメールを整理するSanebox(6)を推奨しています。また、WeekWill(7)は重要とフラグをつけた相手からメールが届くと、テキストメッセージに加えて電話でも知らせてくれます。そのため、メールアプリを完全にオフにすることができます。
6. メールの極意「ART」をマスターする
デイヴィス氏の考えた簡単な略語は、受信ボックスを管理する際に役立ちます。
Action(アクション): 「何らかのアクションを取る必要がある場合は、すぐに対応するか、カレンダーにアポイントメントを入れてアクションを完了できるようにします」
Reply(返信): 「送信者が返信を求めている場合は、メールをそのままにして後で返信しようとしないことです。少し時間を取って、返信を書きます。その場で対応するのです。既にメールを読むことに時間を費やしていますから、後でまたメールに戻って読み直して返信を書くことは、時間の無駄です。一度始めたら、最後までやり通すべきです」
Trash(ゴミ箱に入れる): 「Deleteキーをよく使うようにして、不要なメールは片づけるようにしましょう」
7. 魔法の数字「15」
時には、やりすぎない方が良い結果を生み出します。デイヴィス氏は、特にメールにはそれが当てはまると考えています。彼にとって第一の経験則は、全体を読むために下にスクロールしなければいけないメールは長すぎるので、受信した人がわざわざ最後まで読む可能性は低いということです。言いたいことを件名の15ワードにまとめれば、多くの場合時間と労力を省くことができると彼は主張しています。例えば「あのレポートを明日午後4時までに送ってください」という件名ならメールを開いて中身を読み、返信する必要がありません。完全に不要だと彼は言います。
「メールを送る時に、知りたいことが全部件名に書いてあれば、時間をかける必要がありません」と彼は付け加えます。「強制的に要点を言わなければなくなるので、良い訓練です。ほとんどのメールには、無駄が多すぎます」
マシュー・ジェンキンは、英国のフリージャーナリストです。また、Guardian紙が運営する求職者と転職希望者のためのコミュニティサイト、「Guardian Careers」の元編集者でもあります。
出典:
(1)http://www.radicati.com/wp/wp-content/uploads/2017/01/Email-Statistics-Report-2017-2021-Executive-Summary.pdf
(2)http://www.radicati.com/wp/wp-content/uploads/2017/06/Email-Market-2017-2021-Executive-Summary.pdf
(3)https://www.gpsgoaltrak.com/
(4)http://www.futureworkcentre.com/2016/01/press-release-how-you-manage-your-emails-may-be-bad-for-your-health/
(5)https://www.theguardian.com/small-business-network/2015/aug/18/email-overload-escape-tyranny-inbox
(6)https://www.sanebox.com/
(7)http://www.weekwill.com/